自国民の保護は、国家の根本的な義務である。

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「棄民」=国家が自国民を見捨てること。

昨日、ポレポレ東中野での上映最終日だった小原浩靖監督の「日本人の忘れもの」を観てきました。

3年前に続いて、2回目です。

フィリピンと中国の残留邦人についてのドキュメンタリー映画です。

映画公式『日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人』サイト
映画 日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人 公式サイト フィリピンには、日本人の父と生き別れたまま、今も無国籍状態に置かれ救済を求めるフィリピン残留日本人たちがいる。中国に置き去りにされ、30余年を経て日本に戻るも、言葉の壁による差別と貧困の果てに日本政府を訴えた中国残留孤児たちがいる。映画は、2つの国の残留者...

印象的だったのは、無国籍状態の人々に対してフィリピンは「今すぐにでもフィリピンの国籍を彼らに与えたい。しかし彼らは、日本の国籍が、欲しいのだ。なぜそのような人々を、日本は受け入れないのか?」と言っていたことです。温かく、正常な思考だと思います。

中国への移民は国策だったが、フィリピンへの移住は任意だった。好きで行った場所に取り残されても責任は取らない。

でも、取り残された原因である「戦争」は国策なのでは?

私はこのコロナ禍の、フリーランスの文化芸術に関わる仕事をしている私たちに対しての政府の言葉や対応、そして、今取り組んでいるフランスのアーティストの招聘で感じているストレスと同じものを感じました。

「好きでやっている仕事」が失われても、国は助成はできない。

映画館やコンサートホールは換気も良く、そこにいるときは大声で話すこともありません。満員電車はOKなのに、私たちの仕事は一律に中止され、継続的な補償も充分ではありませんでした。文化芸術についての完全な認識不足です。

見捨てられている。

そう痛感し、生きていくために必死に模索した3年間でした。

入管の規則は8月から変更になりましたが、私がビザ申請をした7月の時点では、「外国人排斥」としか思えないような条件でした。一緒に作業をしてきた行政書士は「日本は未だ、鎖国なんです」と言い、個人での申請では個人情報保護法って、何?というほどの情報開示をした挙句に非常に不快な思いをさせられました。

「普通」が一番重要視される国、日本。でもこの国は、よく言われている「グローバルな視点」でいうならば、「普通」とは程遠い、特殊な国だと思います。島国だから?単一民族という幻想?今や、先進国というなど程遠い気がします。音楽を通じて海外と交流していると、そのことをひしひしと感じさせられます。

結局、臭いものには蓋、長いものに巻かれろ。日本では、責任の擦り合いで世情は動いていると感じます。

「国民の保護者である国家には残留者たちに果たすべき使命がある。本作のワンシーンは、2022年3月10日に国会で引用され、岸田総理大臣にフィリピン残留日本人問題の早期解決を約束させた。映画には社会を変える力がある!」(HPから引用)

帰国した残留邦人たちや、弁護士さんたちの活動には胸を打たれるものがありました。そして、ネガティブな感情を全て良い方へ還元していこうとするみなさんの笑顔にもたくさんの勇気と希望をもらいました。

この映画を制作した小原監督、関わっている方々に、心からエールを送ります。

8月19日から大阪でも上映されますので、お見逃しなく。

また、小原監督のもうひとつの映画作品「原発をとめた裁判官 そして原発をとめる農家たち」が8月18日から上映されます。

TOP│映画公式『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』
ドキュメンタリー映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』公式サイトです。

私もまた、観に行きます。

実は小原監督とは随分前に「レディーボーデン」のCMでご一緒したことがありました。その時にバンドネオンの説明や色々お話ししたことを懐かしく思い出しました。

この映画の上映活動など、全てご自身で映画館などにコンタクトし、上映を進めていらっしゃるそうです。一言も愚痴を言わず、「全てが勉強です」と話される監督、素敵です!

この日はピーター・バラカンさんがトークゲストで参加されていました。監督とのトークも、非常に歯切れ良く、楽しく拝聴しました。

良い風がたくさん吹いた時間でした。

よっしゃ!私も頑張るぞ!!!

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