遅ればせながら、映画「国宝」を観た。
芸の道をいく者ならば、たくさんの共感と感動を感じる作品だろう。
自分の今までの道のりを重ね合わせながらの2時間半だった。
主人公と同じく、小川家には一人の音楽家もいない。
生活のために酔った客の前で演奏し、こんなことのために音楽をしているわけではないと自暴自棄になったことも多い。
でもなぜか、この道以外考えられない。
演奏しなければ、生きていけない。
周りを傷つけ、普通の生活を捨て、練習に打ち込む日々。
「他の全てを失ってもいいから、素晴らしい歌舞伎役者にしてください」
悪魔との取引き、と主人公は言っていたけれど、私も全く同じことを祈ってきた。
芸を精進することによって、濾過されていく部分がある。
まさしく修行だと思う。
昔「奇跡のリンゴ」という映画を観た。
無農薬・自然農法でりんごの栽培に成功した木村秋則氏の物語。
こちらもかなり鬼気迫る内容だった。
10年以上無収入が続く。
村八分になる。
それでも、何を言われても、自分の考えを貫く。
最近、木村氏の本を色々読んでいる。
一貫して言われているのは「土」からよくしていかないと、その上に実るリンゴは育たないということ。
見える部分だけに気を取られて何をしても、結局根本のところから再生していかないと本当の意味での循環は起こらない。
音楽も同じだ。
技術を磨くのは最低限のこと。
その根っこである「自分自身」が大事なんだと。
過剰な肥料も農薬もいらない。
分かち合い、共生し、何をすべきかではなく「何をしないか」を考えること。
そう気付いた時、何かが巡り出した気がする。
今、自分の土を、再生中。
時間はかかるけれど、きっと本当の意味での「音楽」が生まれてくるだろう。
楽しみだ。
台風や地震でいろんなことがキャンセルになった。
おかげで、考えをまとめる時間ができた。
余白は、大事。

