先日の感動的な出来事を、シェアします。
初夏のライブのご依頼があり、その詳細においてはメールで書面で既にやり取りを済ませていた。
主催者の方は実際に私のコンサートに足を運んでくださり、その場でぜひに!との出演依頼。
そのライブの趣旨も素晴らしく、音楽だけではなく各分野の研究者の方の講演も企画されているとのこと。
なんと神奈川から都内までおいでくださるとのことで恐縮した反面、なぜそこまでして個人的に会う必要があるのだろうという疑問もあった。
時々ではあるが、奏者と必要以上なコンタクトを求めてくる方も存在するので、一抹の不安も。。。
席について、一通りの打ち合わせが終了、徐に「こちらからお願いがあります」とのこと。
あ、来たか!大嫌いな「みんなの知ってる曲、有名曲を演奏してください」か、、、、と思いきや、、、、
「お客さまに阿らないでください」
なぜかというと、
「レベルが下がって勿体無いからです」
せっかく自分の足で探し出し、ぜひともと依頼している音楽家、研究者でも、ほとんどの人がその会の「客層」「演奏してほしい曲」を出演者側から聞いてくるそうだ。
それが、勿体無い。
ゴリゴリのニッチな出演者に依頼する意味がなくなってしまう。
それで残念な結果に終わった会もあった。
お客さまに内容を阿るということは、貴重な専門知識を受け取る機会損失になる、だから絶対そういう考えはしないでほしい。自分の表現を100%して欲しい。
とおっしゃった。
演奏者としてもちろん、お客さまに楽しんでほしいと思う。
でも私は「娯楽」としてというよりはもっと純粋に、「音楽」を伝えたいといつも思う。
そして仕事上いろんな国の人と関わり、さまざまな文化を経験しているので一つの知見としてそれをを伝えていきたいと思う。
知っていることを再認識して安心するより、知らない素敵なことを知って楽しんでほしいと思う。
そしてそれを通じて自分の人生の一片を、を伝えられたら、と思う。
それによって、ひとりひとりがそれぞれに、何かを感じてほしいと、願う。
こんなにリスクの多い「音楽家」という職業を選んで長年続けているのは、自分自身を表現するその喜びが、かけがえのないものだから。
でもその反面、多くののご依頼の目的は「娯楽」に近いため、「みんなの知ってる有名曲」リクエスト合戦になる。
苦痛だ。
譜面があがれば大体なんでも演奏することはできるので、リクエストにお応えすることはできる。
でも果たして、それはいいことなのだろうか。
そしてそれが目的なら、私のプロフィールを読んだ段階で、あ、この人違う。って気づいて欲しいと思う。
バンドネオン=タンゴ=女性の珍しい奏者ってのを、いい加減やめてほしい。
、、、、ということではなかったわけだ。その逆だった。
その後の会話の盛り上がったこと!!!!
例えばこういう場合、その会の趣旨を盛り上げるためならば有名曲は喜んで演奏する。
みんなが知ってる有名曲は、名曲だからこそ今も、演奏され続けるのだ。
まあ、「みんなが知ってる曲」を私が全然知らなかったりして笑えるんだけど笑。
こういう気持ちで迎える演奏会は嬉しい。
「お客さまに阿らないでください」
このひと言を直接言うためだけの、打ち合わせ。
心から感動した。
ピアソラは自分の曲が「有名曲」としてリクエストされることを天国でどう思っているのだろう。
これ、直筆サイン。

