テレビ出演にまつわる葛藤と苦労とそして、感謝について、どうしても伝えたいこと

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今朝8時に放映されたBS東テレ「音楽交差点」のご依頼を受けたのは今年の春。

放射線治療後1ヶ月で、まだ早い、無謀とも言われたベトナムツー中だった。

ご依頼はとても嬉しかった。

しかし、収録される演奏曲を詰めていく中でアルゼンチンタンゴの名曲、しかも私はレパートリーにしていない難曲を指定され、心が揺れた。

今、まさしく命をかけて、フランスのバンドと「自分たちにしか出せないサウンド」を模索している。もし、このご依頼を受けたとしたら相当な練習量と時間が必要だろう。果たしてそれを今、お受けするべきなのか。

正直、「タンゴを演奏すること」を生業にしているバンドネオン奏者ならきっと、この曲はレパートリーにしているだろう。

どうしてもこの曲、ということが優先ならば、他の方の方がいいのではないか。

何度も何度も担当の方とやり取りを繰り返す中、通常は2曲のコラボを3曲にして、私のオリジナル曲を収録曲に含めてくださった。

ヴァイオリンの大谷康子さんをはじめ、関わっている皆さんの熱い気持ちを感じた。

頑張ってみることにした。

それからの1ヶ月は、毎日毎日練習を続けた。

付け焼き刃でそのジャンルの名曲を弾くということはしたくなかった。

通常は何年も、何十年もバンドネオン奏者が引き継いできた曲を1ヶ月の練習期間で公共の電波に乗せるという葛藤。

収録の日が来た。

たくさんのスタッフの方々が、最高の技術で現場を動かしている「気」を感じた。

何も考えず、必死に弾いた。

何より、共演の大谷康子さんのヴァイオリンの音に打ちのめされた。

すごい音圧。そしてテクニック、気迫。

音楽に向けた、熱い心意気。

必死なのに、笑顔になってしまう。

楽しくてたまらない。

嬉しくてたまらない。

自分は一体、何にこだわっていたんだろう。

現場の熱が、全てを溶かしてくれた。

すごい経験だった。

収録後、番組の企画、構成に尽力されている伊藤裕太さんと直接お話をした。

伊藤さんが私を見つけ出し、出演を提案してくださったのだ。

話すほどに、伊藤さんの音楽への愛、探究心を感じ、心から嬉しくなった。

そして、「この曲を弾ける人は他にいるのに」などと考えた自分が恥ずかしくなった。

他ならぬ「小川紀美代」を選んでくださったことに心から感謝し、また、新年の東京交響楽団と大谷康子さんとの「未来への讃歌」への参加もご依頼いただいたこと、また、全力で取り組もうと気を引き締めた。

テレビというメデイアの影響は、今でもとても大きいと思う。

実際、放送終了後、たくさんの励ましのメッセージ、SNSを通じての見知らぬ方からのコンタクトなども頂いた。

今、これを書きながら涙が止まらない。

いろんなことがあった。

そしてまだ、道の途中。

これからも精進していきます。

みんな、応援してね!

ちなみにこの放送は、ツアーの最終地、松山で録画してくれているらしい!

ツアーの打ち上げを兼ねて、みんなで観たいと思います!!!楽しみ!!!

写真は友人が多分テレビ画面を撮影してくれたもの笑。ありがとね!

photo by Tsuneyuki Sekine

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