同行二人 NOMAD Tourを終えて

コンサート・ツアー情報

2週間のロングツアーを終え、旅の荷物を整理してやっと一息ついています。

帰宅すれば生活の雑務やこれからの仕事の色々が待っています。日常に戻り振り返ると、今回、明らかにツアーに出る前と帰ってからの自分の心持ちが違う。もしかしたら人生が変わった。レベルかもしれないと思いつつ、変わったのではなく「本来に戻った」ような気もします。

ツアー中はゆっくりブログを書く時間はなかったのですが、何かを感じた瞬間瞬間にSNSに写真と共に投稿することを心がけていました。よかったら見てみてください。たくさんアップしているので時系列で見ていくと、ロードムービーのように楽しんでいただけると思います。

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ここではツアー中に感じたことをまとめて書いていきたいと思います。

まずは自分を開くことから

このツアーから本格的にスタンディングスタイルでの演奏を始めていきました。

鈴鹿・ユリカゴノナカ photo by Nonoko Sato

バンドネオンソロで蛇腹を長く使う演奏での立ち弾きは、正直言ってかなり過酷なのですが、「立って弾く」ということが外に向けて表現するということにかなり有効だと感じました。

元々自分の内に入り込みがちな性格なので、座って弾いているときは「聴いていただく」というよりは「内面に向けて弾いている」という感じだったと思います。立って背筋を伸ばし、高い位置から胸を張って演奏すると、音や自分のエネルギーを飛ばすために何かが「開いていく」のを感じました。

実際、各会場のお客さまの反応が、今までにない感じで驚きました。

名古屋・ギャラリー風の音 phot by Tsune chan

お話をするときも、なんというか今までは話さなかったことや正直な言葉が以前よりもどんどん出てきて、自分でも楽しかったです。ということは、その場を共有してくれたみなさんにも、楽しんでいただけたのかな。

鈴鹿・ユリカゴノナカ photo by Nonoko Sato

私はなかなか「開く」ことが難しい性格です。でも、表現する側が開いていかないと、何も伝わらない。今回、とても風通しが良い感じでした。私もみんなから、たくさんの想いを受け取ることができたと思います。ありがとう!

同行二人というツアータイトル

最終地点が四国松山。ということで何気なくつけた「同行二人」というタイトル。

ツアーを終えた今、これほどまでに胸にくるとは思いませんでした。

敬愛する写真家の森山大道氏の言葉に「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい」という言葉があります。今日という未来が引き寄せた「同行二人」NOMAD Tour。バンドネオンソロ、ひとり旅。でもずっとずっとひとりじゃなかった。

まずは各地の主催者の方々。協力してくれた友人知人。きてくれた皆さん。新しく出会った人たち。

四日市のみんなと写真撮り忘れ!この子はちえちゃんちのぽこちゃん。
鈴鹿・ユリカゴノナカにて 映像の荒木紀裕さんと。photo by Nonoko Sato
ユリカゴノナカにて 主催と本当に色々細やかなところまで、ありがとう!ののこちゃん!
名古屋・ギャラリー風の音スタッフ、つねちゃん。この顔、好きです笑。
大阪・ムーザサロンにて 長年の友人で京都のロシア料理の名店キエフのみちよちゃん!
大阪・ムーザサロンにて 主催の片山ふえさん、パートナーの通夫さんは著名なフォトジャーナリスト。
松山にて 小川姉妹❤️
愛しの砥部町文化会館の皆さんと!

「私たちは、キミヨさんというバトンを受け渡していくの」

そう言ってくれた名古屋のお母さん。

バトンである私は、何を運んでいくべきなのだろう。そう考えた時、「私はただ、バトンであればいいのだ」と腑に落ちました。ただ自分を開いて音楽で表現すれば良い。みんなはそこに、それぞれの想いをのせて次の場へバトンを渡すことによって、それぞれが何かを感じ、動いていく。そう、私は私であれば良い。ということ。

四国へ入る前から、ツアーがお遍路そのものだったんだと気づきました。

お遍路を巡って感じたこと

今年は、大切な人を次々と亡くした年でした。

素晴らしい共演者だった友人。ご自分が闘病中で苦しくても、いつも私の心配ばかりされていた父親のような存在の方。命を賭けて昨年のフランスとのアーティストとのツアーの企画をし、彼らに素晴らしい思い出を作ってくれた、妹のように感じていた女性。ツアーに旅立つためにハンドルを握ったその時、天国へ旅立ったという知らせを受けました。

車の中は、遠慮なく泣くのに良い場所でした。

今回、四国にたどり着く前から、不思議なことがたくさん起きました。

いつも見かけないとっても綺麗な蝶や蜻蛉が何か意思を持っているかのようにずっといたり、何気ない会話の中でたくさんの偶然が起こったり、極め付けは「今年は弘法大師様ご生誕1250年の記念の年で、砥部町でのコンサートの日が弘法大師様のお誕生日だった」ということでした。全く知らなかったけれど、大阪の会場のスタッフさんが偶然お遍路帰りだったことから知りました。

鈴鹿からそれは始まっていました。

お遍路での山中でもクロアゲハがずっと飛び交っていて、案内してくれていた知人が唐突に、亡き人との思い出の歌を口笛で吹き出した時は、涙が止まりませんでした。

みんな、いるんだね。ここに。

本当に、そう思えました。

お遍路修行とは「自他兼利済、自分と他人が共に救われる共感同苦の道」だそうです。おかげで救われていたと感謝している相手も、自分に手を差し伸べることで実は救われているのかもしれない。また近い将来、お遍路を巡りたい。そう強烈に思わせる何かがありました。

ツアーを終えて

ツアー中から、色々と自分の内面に変化が起きていることを感じました。

今回、出会う場所や雰囲気、人やモノ、出来事が今、自分が求めている方向と恐ろしいくらい合致していました。何度も会っていても自分自身が「開いていなかった」ために、その方の本当の魅力に気づくことができなかったのかもしれません。

みんなと話すのが、とってもとっても楽しかった。

素敵な方といっぱい出逢った。

美しいものをたくさん感じた。

これからやってみたいこと、ワクワクすることがどんどん浮かんでくる。

その反対に、「今では必要がないこと」もはっきりしました。

カッコつけること、意地を張ること、強がること。そして、アルコールフリーがとても気持ち良い。

何度か雰囲気で呑んでみましたが、あ、もう必要ないや。と感じました。

人生は選択の連続で、自分が何を選ぶかで行く道が決まる。だから、正直に、素直になって、心地よい生き方を選ぼう。そして、それに責任を持ってコツコツ生きていきたいなって思います。

旅から帰れば、おうちが一番。

帰る場所があるから、旅は楽しい。

心からありがたいな。と思います。

フェリーから撮影。東京湾の夜明け。

またいくけん!バンドネオン持って!!!待っててね❤️

出逢ったすべての方に、感謝を込めて。

松山の海。白石の鼻。

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