思えば、人生は見えない糸が絡まってできている。
コロナ禍にいろんな出来事があって、パリに行くことになった。
ご縁をいただいてこの映画の音楽を担当している、ミッシェル・ルグランのお孫さんと共演し、お宅にも伺ったっけ。
それから南仏と日本を行ったり来たりして、去年はがん闘病から復活。
そして今、恵比寿でこの映画を観ている。
成人式の日、着物を着た人たちが楽しそうに写真を撮っていた。

あの頃の自分には、夢も希望もなかったな。
大人って、楽しいよ!って、その頃の自分に言ってあげたい。
2時間半にわたる美しい映画。
でも、その全てはラスト15分にあると言っていい。
終演後、あまりの感動で立ち上がれなかった。
戦争を背景に、さまざまな人生が交錯する。
最後、全てのパーツが一つになり、オーケストラで奏でられれるラベルのボレロで、天才ダンサー、ジョルジュ・ドンが踊り、舞う。
その美しさと崇高さに、真実を見る。
カメラが会場を広く捉えた時、エッフェル塔に輝く赤十字。
ああ。
私も赤十字に、命を救われたんだった。
広尾の日赤病院から見えた東京タワーを思い出す。
その瞬間、もう、涙しかなかった。
戦争は必要悪なんかじゃない。
そして、芸術は全てを越境するんだ。
今月末に参加する、私にとって大きなチャレンジとなるコンサートの曲のコンセプトは「音楽は国境を超える」だ。


まさに今、この映画を観て、本当に良かった。
映画館に映画を観に行くって、やっぱりいいな。
次はデヴィット・リンチか、河瀬直美の新作が観たい。



