先生。と呼ばれて、どのくらい経つのかな。自分は先生業には向かない気がするし、実際レッスンといっても演奏活動を優先させていただいていて、ツアーの時などはそもそも全然いないし。でも、「教える」ということを通して、私自身、勉強になることや、気づきが多く、この仕事をしていて本当に良かったと思います。
思うのは、「教えて」いると、「教わる」ことの方が多いということ。
レッスンは、もちろん技術や知識を教えるためのものなんだけれど、最近はもう、「生徒たちと一緒に、生きてるんだな」と感じます。
遠方から発表会のためだけに上京してくれる生徒。ご両親のお世話もしながら、飛行機に飛び乗ってきてくれた。
会社でのいろんなことを乗り越えながら、一生懸命練習してきてくれた生徒。
悲しいこと、辛いことも全部音楽に乗せて、精一杯演奏してくれた生徒。
これからの自分の人生に悩みながら、挫けそうになっても一歩ずつ頑張ってる生徒。
最年長の85歳の生徒さんは、生きることがバンドネオンを弾くことになっている。
そんな生徒のみんなと力を合わせて「発表会」といういう一日をつくりあげる。
打ち上げでいろんな話をする。
その一瞬一瞬が、尊い時間だと思います。
みんなそれそれが、大変な日々です。
その中で、私たちは「バンドネオンを弾く」というただ一つのことでつながっている。これは奇跡のようなことだと感じます。
昨日はタワーホール船堀にて、宮川明さんのフラメンコギター教室とのジョイント発表会。明さんの音楽に向かう姿勢や人に接する態度など。いつも心動かされる何かを感じさせてくれます。
どちらかというと、独りで引きこもって練習をしたり曲を書いたりするのが好きです。
でも、音楽の仕事をしていて一番良かったのは、やっぱり「人」と出逢えること。
やっぱり最後は「人」なんだなあ。と思わせてくれた、素晴らしい発表会でした。